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独トレグリッツ 移民を新たな活力に 

2015年08月25日

 旧東独のライプチヒから南に車で40分ほどのトレグリッツ村で4月、難民が入居する予定の住宅が何者かに放火された。外国人の排斥を主張するデモを村で繰り返してきた極右ネオナチの仕業とみられるが、犯人はまだ捕まっていない。

 移民の受け入れは、前村長のマルクス・ニールトさん(46)が進めてきた。極右から数々の脅しを受けながらも計画を曲げず、6月には第1号となるアフガニスタンなどの難民家族を村に迎え入れた。

 受け入れは村のためにもなるというのがニールトさんの考え。反対論には「高齢化が進み、子どもが減る中、多くの人が孤独を感じているのに、なぜ他人を受け入れないのか」と説く。難民一家が初めてスーパーで買い物をした際の表情が印象的だったといい「彼らは笑顔と新しいエネルギーを私たちのもとに持ってきてくれた」と言う。

 この村に限らず、中東や東欧から流れ込む難民や移民に対する警戒心はドイツ各地で頭をもたげている。彼らを「社会の新たな活力」と歓迎できるかどうか。少子高齢化が進む日本が直面する課題でもある。 (宮本隆彦)