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ベルリン ヒロシマとの深い縁

2015年09月10日

 70年前、広島に原子爆弾が投下された8月6日、ベルリンの日本大使館で追悼コンサートが開かれた。ウルフ前大統領はじめ日独の外交関係者が多数列席し、琴や尺八、ピアノといった和洋を組み合わせた斬新な演奏に盛んな拍手を送った。

 コンサートは日本政府が取り組む「核廃絶」を世界に発信するためと趣旨を理解したつもりになっていたら、日独文化交流に取り組むドイツ人女性に「分かっていない」と言わんばかりに、ドイツと広島の縁についてひとしきり説明された。

 米国のトルーマン大統領が原爆投下の指示を出したベルリン近郊のポツダムには、広島で被爆し、後にベルリン工科大教授となった故外林秀人さんの尽力で「ヒロシマ・ナガサキ広場」や原爆碑がある-などなど。

 そういえば、日本大使館前の通りの名は「ヒロシマ通り」。最初の原爆がベルリンに落とされていたかもしれないという市民が抱く広島への連帯感から名付けられたのだという。

 当地に着任して10日余り。この国には、日本人として知っておかなければならない「両国のご縁」の歴史がたくさんあると感じている。 (垣見洋樹)