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ソウル 光復節 反日色抑える

2015年09月15日

 日本の終戦記念日にあたる8月15日は、韓国では日本の植民地支配からの解放を祝う「光復節」。戦没者を悼む日本とは対照的に、韓国は祝賀ムードに包まれる。解放から70周年にあたる今年は特に、国を挙げて盛大な行事が催された。

 ソウル中心部の大通りは交通規制され、鉦(かね)や太鼓を鳴らしながら踊る伝統芸能「農楽」の大行列が練り歩いた。通り沿いのビルの壁面には巨大な太極旗を掲揚。李氏朝鮮時代の王宮「景福宮(キョンボックン)」の前に設けたステージでは、歌や踊りの公演が夜遅くまで繰り広げられた。

 慰安婦をテーマにした絵画展や、安重根(アンジュングン)ら独立運動家をたたえる展示もあったが、全体的に「反日」のムードは薄め。それよりも、70年の歩みを振り返り、独立と経済発展を喜ぼうという雰囲気が目立った。

 前日に安倍晋三首相が発表した戦後70年談話は、朝鮮半島の植民地支配に直接ふれなかった。それでも批判を抑えた朴槿恵(パククネ)大統領。安倍談話の「私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」との一節をかみしめる一日だった。 (島崎諭生)