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ベルリン 同じ人間 峻別する柵

2015年10月09日

 シリアなど紛争地域から欧州に押し寄せる難民に話を聞こうと訪れたベルリン市の保健社会局前で、目を背けたくなる光景に出くわした。

 そこは難民申請者が、市当局から滞在許可の知らせを受け取る場所。子どもを連れ、ギリシャなどから一月かけて歩いて来た人たちが、テント暮らしや野宿で吉報を待っている。

 奥の騒がしい人垣をのぞくと、柵に囲まれた4畳ほどの場所で3人の若い女性ボランティアが、柵の外から大声を上げて手を伸ばす難民たちに、リンゴやあめを渡していた。

 おなかをすかせた難民が押し合う中、安全対策も必要だろう。とはいえ、同じ人間を、まるでエサを求める側と、与える側に峻別(しゅんべつ)する残酷な図式にも見える。

 ところが、ボランティアの一人、大学院生のシムキンスさんは「豊かな国にいる私たちが困っている人に分け与えるのは当たり前」と屈託ない。受け取る難民たちも「ドイツは安全な寝場所があって、食べる物もある」と、むしろ満足そう。

 難民の現実は、尊厳や体面をおもんぱかる暇もない速さと規模で迫っている。(垣見洋樹)

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