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ローマ 白い悪魔 すぐそこに

2015年10月13日

 ローマ「特有」の雲一つない青空。向かいの6階建てアパートの屋根で何やら工事が始まった。ご近所はどこも築50年以上のアパートだから改修工事は日常茶飯事。しかし、今日は様子が違う。屋根上の作業員5人は頭から爪先まで白い作業衣で覆っており、ガスマスクのような面も着けている。1人が屋根板の端を持ち上げた瞬間、白いほこりが舞い立つ。

 とっさに窓を閉めた。古屋根に使われていたのがアスベスト(石綿)と気付くのに時間は要しなかった。1992年に石綿の製造・輸出入が禁止される前、各地で絶縁配管やスレート、さらに壁体表面吹き付け処理にも膨大な量が使われてきた。これまでに石綿のちりが原因で北イタリアの加工工場の労働者・家族をはじめ2000人以上が亡くなったと推計されている。

 石綿曝露(ばくろ)から発病までの期間は30~40年、低濃度環境曝露の方が発がん性が高いとの説もある。向かいの屋根スレートが厳重にビニールに包装後、撤去されホッとしたところに、禁輸製品であるはずの石綿が近年、インドから1040トン輸入されていたというニュース。気が許せない。 (佐藤康夫)

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