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アテネ 交錯する失望と希望

2015年11月18日

 「熱狂」とは程遠い総選挙だった。新しい政治に希望を託した1月の総選挙からわずか8カ月。「政治家なんて信用できない。政治で生活の何が変わったというの。選挙に行くつもりなんてないわ」。アテネで20代の女性は肩をすくめた。

 1月、「反緊縮」を訴え、国民の圧倒的支持を得た現首相のチプラス氏。主導した7月の国民投票では6割の国民が欧州連合(EU)などの緊縮策に「オヒ(ノー)」を突きつけた。だが、結局、チプラス氏が金融支援と引き換えに選んだのは緊縮策の受け入れだった。

 「本当に失望したよ」と飲食業の男性。「でも国を危機に陥れた古い政党はもっと信用できないし…」。あきらめたかのような口調になった。

 一方で女性教師はチプラス氏を擁護した。「ほかに選択はあったろうか。よくやったわ」。預金の引き出し制限が続く生活。支援を受けられなければユーロ圏離脱もあった。「彼はギリシャを売ったわけじゃない」。教師の言葉は苦しい国の現実を物語っていた。

 失望と希望が交錯した選挙。国民は次の4年を再び、若き首相に託した。 (渡辺泰之)

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