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リオデジャネイロ 悲劇生んだ同じ地名

2015年12月02日

 タクシーの運転手が「先週、不幸な事件があってね」と言いながら目的地をカーナビに入力した。「老夫婦が娘の所を訪れるのにカーナビを使った。着いた場所はスラム街。そこで麻薬犯罪組織の連中に撃たれ、奥さんが亡くなったんだ」

 来年、夏季五輪が開かれるリオデジャネイロ。行き先の住所がスラム街の地名と同じだったことから起きた悲痛な事件だ。

 運転手はナビの表示を確認しながら運転を続けた。「リオには1000カ所のスラム街がある。気が付いたら迷い込んでいることがあるよ」

 かつては銃撃戦が日常茶飯事だったスラム街。1年前に訪れた時は警察官が配置され、自宅を宿屋に改築した主人が「昔のような危険はないよ。五輪では客を集めて、一稼ぎしたい」と笑っていた。

 だが、この1年で状況は再び変わった。経済不況が続き、収入の途絶えたスラム住民などによる犯罪が増えているという。

 そんな話をしているとタクシーが止まった。「着いたよ、アミーゴ」。周りは水着姿の男女が歩く美しい海岸。「幸運だったね。気をつけな」と運転手は笑った。(北島忠輔)

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