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北京 大声通話 気にしない

2015年12月10日

 とにかく、うるさい。「声調と呼ぶ抑揚と多数の母音・子音を特徴とする発音のためだ」と聞いたことがあるが、中国人の多くは声が大きい。そこに、携帯電話の普及が喧噪(けんそう)に拍車をかけている。

 北京の地下鉄やバスに乗ると、いたる所で携帯電話に向かって、訴えかけるように話す声が飛び交っている。地方のホテルに宿泊すれば、隣室から壁越しに夜通し、会話が聞こえてくることもざらにある。

 先日、市内の映画館に人気の作品を見に行った。驚いたのは、映画が始まってからも、隣の席の中年男性が携帯で30分近く通話していたことだった。「静かに」とお願いすると、大声で逆ギレされてしまった。

 ところが、地下鉄やバスの中でも、周辺にいる誰一人として隣人の声を気にかけている節がない。日本なら電車で携帯の使用を控えるよう車内アナウンスがあるが、当地では自制を促す掲示さえ見当たらない。

 「自分も大声だし、携帯電話も使うので、他人のことなど気にならない」とは、中国の知人の説明だ。「郷に入っては郷に従え」か。気にしないよう努めるほかない。 (城内康伸)