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モスクワ 「シリア」禁句の集会

2015年12月25日

 ロシアによるシリア空爆の開始後初の反対集会がモスクワ中心部で開催されると聞いて、会場に出かけた。一般参加者は200人程度だったかもしれない。

 市が集会を許可した場所はスボーロフ広場。ロシア史有数の軍人と言われるスボーロフ将軍を記念した広場で本来、愛国主義を鼓舞する場所。心なしか、反政権活動家ら主催者もいまひとつ元気がないように見えた。

 「シリアと言っては駄目ですよ」。司会者は参加者に何度も念を押した。政府批判になるからだ。集会をするなら「戦争一般」に反対するだけとの厳しい条件を突きつけてきた。理不尽そのものだが、広場は治安部隊が取り囲んでいる。約束を破ると非合法集会にされかねない。参加者全員が「戦争反対」と訴えたが、熱気は乏しかった。

 あっさり終了かと思ったら後ろで叫び声が聞こえた。「プーチンは人殺し」と書かれた紙を掲げていた若い女性が治安部隊に取り押さえられたのだ。しばらくすると、今度は「シリア空爆ありがとう」とプラカードを掲げて挑発する男性が現れるに至り、参加者は興奮状態に。何が起きるか分からないのがロシアである。 (常盤伸)