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ワシントン 「壁」求める心 今なお

2016年01月05日

 「メキシコとの国境に巨大な壁を築く。彼らは犯罪を持ち込むからだ」

 2016年秋の大統領選に出馬表明した候補たちが集まるテレビ討論会で不動産王、トランプ氏がほえると拍手が起きる。依然としてこの荒唐無稽にも見える「政策」はトランプ氏への支持を集める。

 先日、日系米国人市民連盟の事務局長を務める日系三世のプリシラ・オウチダさんの話をワシントンで聞く機会があった。そこに出てきたのがこの「壁」だ。米国が不況に苦しむ1880年代、雇用を奪うとして中国人を米国に入れないため、「万里の長城」を築いて米国を囲むという構想があったという。

 オウチダさんは「反アジア人的な感情が米国に育っていた」と説明した。中国人移民の排斥はその後、日本人やフィリピン人移民にも拡大した。第二次世界大戦中の強制収容を経て日系人は努力を積み重ね、米国での権利を獲得していった。

 国境の管理は適切に行われるべきだ。だが、そんな反感を乗り越えてきた米国で、今なお「壁」に喝采を送る現実があることに、移民問題の難しさを思い知らされた。 (斉場保伸)

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