2016年01月07日
中国の習近平政権が汚職撲滅をめざす「トラ退治」で、ついに上海市にも切り込んだ。
上海トップの韓正・市党委書記の信頼が厚いという艾(アイ)宝俊副市長が「厳重な党規律違反」の疑いで取り調べを受けた。汚職事件になるのは必至の情勢だ。
汚職摘発の「中央巡視隊」が昨年秋、上海に乗りこんだとのうわさが飛び交い、いよいよ上海でも「トラ退治」との観測は根強かった。この時は、自由貿易試験区ナンバー2の失脚にとどまったが、艾副市長は同試験区のトップ。
歴史上、皇帝全権を受けた切り捨て御免の刀を「尚方宝剣」という。現代の宝剣を持つと形容される「巡視隊」はすでに、「上海の大トラ」クラスに狙いをつけていたようだ。
中国政治を振り返れば、江沢民党総書記(当時)をはじめとする「上海閥」が政界を牛耳ったのはわずか15年ほど前。
今となっては、党総書記だけでなく、全国人民代表大会(国会)委員長や首相を輩出した時代が夢のようだ。
世帯年収の平均が5万元(約100万円)と全国トップになっても、上海っ子の意気が上がらぬのも無理はない。 (加藤直人)