2016年02月12日
米中西部イリノイ州の中心的都市シカゴの街角には冷たい北風が吹いていた。派手な看板が目につくピザ店に駆け込み、メニューにある「スタッフト」を注文。強烈なインパクトのピザがテーブルに運ばれてきた。
厚さ5センチ、直径20センチ。シカゴ流ピザはとにかく分厚いのが特徴だ。チーズや流し込んだトマトソースなどを受け止めるように生地の縁が鍋のようになっている。日本で食べるピザのイメージは全く当てはまらない。ほかほかのトマトとチーズを山盛り食べた気分になった。
1943年に登場したとされるこのシカゴ流ピザ。70年代にチェーン展開でこの地域に広がった。シカゴに住んだことのある知人は「シカゴは冬の寒さが厳しい。保温性を意識してこの厚みになったのではないか」と推測する。
創造力豊かなシカゴの若者の間では、冗談交じりにこの伝統のピザをリニューアルしようという構想が浮かぶ。しかし「アジア風にしたり、形を変更したりすればシカゴ・スタイル・ピザでなくなってしまう」との結論に。どうやらこのピザは、進化の一つの最終形なのかもしれない。 (斉場保伸)