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ニューヨーク 不便でも心あたたか

2015年05月16日

 米ニューヨークのマンハッタンにある地下鉄の駅で降り、出口へと向かった。階段の手前で、ベビーカーを押していた女性と目が合った。

 「お願いできるかしら」

 ベビーカーを上まで運び終えると「ありがとう。よい一日を」と女性はにっこり笑った。

 1904年に開業したニューヨークの地下鉄。1日600万人が利用する。だがエスカレーターなどない古い駅が多く、子連れの女性や荷物を持ったお年寄りには周りが手を差し伸べる。それがいつもの光景だ。

 運賃が値上げされた。1回2ドル50セント(約300円)から2ドル75セントに。一方、この1年間で列車の遅れが45%も増え「不便になったのに運賃は上げるのか」と反発も。

 マンハッタンに住む高齢の女性は駅の改修や清掃が行き届いていないことを嘆いた。

 「これが世界に誇るニューヨークの地下鉄なの? 日本では床に落とした物でも食べられるほど、きれいだというのにね」

 私は思ったことをそのまま言葉にした。「でも、人のお役に立てる機会には、なかなか恵まれないんですよ」 (北島忠輔)

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