2016年02月23日
午後7時が近づくと、会場となった大きな教会の入り口に人の列ができた。みんなが料理を抱え、笑顔を携えていた。昨年11月、ノースカロライナ州グリーンズボロでパーティーに招かれたときのことだ。
テーブルには、フライドチキンやピザなどの定番メニューから、焼きそばやスパイスのきいたスープ、甘そうなケーキまで、次々に食べ物が並んでいく。
女性が教えてくれた。「ここは移民が多いのよ。みんな『家庭の味』を持ち寄るの」。たばこや繊維、自動車部品などの産業を支える働き手として、中南米や中東から移民や難民を受け入れてきたのだという。
州全体ではこの2年に36カ国から5000人近くが移住したという。ところが州知事はパリ同時多発テロの後、シリア難民の受け入れ拒否を表明。その知事への抗議が、このパーティーの趣旨だった。
壇上では、シリア人の親を持つゼイン・クセイビさん(52)が訴えていた。「懐の深さと多様性は私たちの誇り。今こそ、手を差し伸べるときだ」。教会の隅に並んださまざまな料理が、街の歴史と誇りを象徴していた。 (北島忠輔)