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ハバナ 低額ゲバラ札の輝き

2016年03月09日

 キューバの首都ハバナに降り注ぐ真夏のような太陽が、革命広場にあるビルの壁面に描かれた革命家チェ・ゲバラの肖像を鮮明に浮かび上がらせていた。観光客たちは他のビルに同様に描かれた英雄たちには目もくれず、ひげを蓄えたベレー帽の男にカメラを向ける。

 「ゲバラのお札、入手しましたか?」と同じ民宿に宿泊している中国人女性たちが話し掛けてきた。われわれ外国人が使う兌換(だかん)ペソには存在しないゲバラの表情を描いた「人民ペソ」のことだ。交換所の窓口には新札の束が積まれていた。

 ゲバラの掲げた平和への理想は色あせることはない。シャツや帽子、バッジにマグネット…。旧市街の路地では所狭しとゲバラを描いた土産品が売られ、人だかりができる。キューバでも格差が深刻な問題となる中、一つのあめ玉を石でたたき割って仲間で分け合うような徹底した平等主義が今、新たな輝きを放っていると感じた。

 ゲバラが描かれているのは3人民ペソ札。兌換通貨を介して日本円に換算すると約15円。高額紙幣でなく、あめ玉を分け合うような額面なのもまた、彼らしい。 (斉場保伸)

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