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サンフランシスコ 「地元に軸足」の紙面

2016年03月04日

 サンフランシスコ郊外にある地方紙が、同紙が進むべき将来について読者の意見を聞きたいとする告知を一面に掲載した。

 その告知の中で「全米の新聞は読者数と広告収入の減少に直面している」と、電子メディアの台頭の中、厳しい現状を認めている。また経費節約のための発行日の削減はしないという決意も語っている。実際、発行日を減らす新聞が散見される。

 それから数週間、一面にまた記事が載った。1500人以上から意見が寄せられて力づけられたという書き出しだった。

 読者の意見を総合すると、地元のニュースが最重要、全米や国際も欠かせないという、現在の編集方針が間違っていないことを確認する結果だった。「新聞がやらずに誰がやる」という読者からの期待も紹介した。

 昨年末に近いある日、見出しの字体が新しくなった新聞が配達された。今まで以上に「地元」に軸足を置いた編集に生まれ変わって、年を越した。
 この新聞は、人口約50万人の地域で約5万部を発行している日刊紙デモクラットだ。信頼できる情報源として読者に慕われている。今後の健闘を祈りたい。 (岡田幹夫)