【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. 中国
  5. 北京 温かい忠告に身震い

北京 温かい忠告に身震い

2016年03月22日

 中国語の勉強のために留学した際、ホームステイ先となった中国人家庭に久しぶりに顔を出した。勝手に中国の「お父さん」「お母さん」と呼ばせてもらっている夫婦は間もなく60歳。見た目はとても元気だ。

 両親の手作り家庭料理を食べながら、話題は自然と健康問題に。「最近何か運動はやってる?」。少し太り気味となった不肖息子の腹回りが気になったようだ。しかし、昔からの怠け癖は簡単に直らない。

 逆に少し痩せたように見えたお父さんに健康の秘策を問うと「寒中水泳だ。あれは本当に体にいいぞ」。北京中心部にある観光地、人工湖の「後海」に行って泳ぐのが日課になっているという。氷が張った湖に飛び込むと、血行が促進されて老化防止にも役立つといわれており、寒中水泳は冬の北京で風物詩となっている。

 しかし、最高気温が氷点下となる日も珍しくない真冬。お父さんの話を聞くだけで身が縮む。「一緒に泳がないか。やればその良さがきっと分かるはずだ」。親の心子知らず。健康維持を願う温かい忠告だったと思うが、とてもやってみる気になれなかった。 (秦淳哉)