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北京 歌合戦 政治色強まる

2016年04月05日

 旧暦の大みそかだった2月7日、日本の紅白歌合戦にあたる「春節の夕べ」が放映された。スターが一堂に会して歌や踊りを披露し、国内で7億人が観賞する恒例の番組だ。

 自宅のテレビで見ると、番組の冒頭、この1年を振り返るオープニングソングがあった。

 「♪中国人がノーベル賞 (北京)冬季五輪も決まったぞ 軍事パレード大成功 腐敗撲滅まだ続く」

 なんだ? 一般的な慶事と合わせ、政治的スローガンも登場した。その後の番組でも、日中戦争から朝鮮戦争まで従軍した100歳の元兵士が登場したり、昨年9月の軍事パレードに絡む兵士の友情物語が披露された。

 習近平政権になって以降、政治色が強まっているそうだ。だが、無料通信アプリLINEの中国版「微信(ウェイシン)」では「北朝鮮の番組かと思った」「総監督は金正恩様だな」と批判も多い。

 微信にこんなジョークもあった。「北朝鮮は核実験をして中国に追いつこうとしている。中国は『春節の夕べ』で北朝鮮に追いつこうとしている」。権力者がマスコミを通じて価値観を押しつけようとしても、そう簡単にはいかない。 (平岩勇司)