2016年03月30日
ロシアではインフルエンザが大流行中で、1月から2月にかけて全国で約400人が死亡する騒ぎとなった。慌てて薬局にマスクを買いに行った。ところが薬剤師が「ずっと売り切れだったんですよ。本当に運が良いですね」と言ったのには驚いた。ロシア人はマスクをしないものだと思っていたからだ。
国営テレビの朝のニュースショーでは予防対策としてマスクの着用を奨励しているが、品薄になるまで普及しているとは思えない。半信半疑で夕方のラッシュアワーでごった返す地下鉄キエフ駅に行き、乗客を30分ほど観察してみた。
やはりである。マスクをつけているのは、100人に1人か2人程度だった。それも若い女性か中年女性だけで、男性はほとんどいない。テレビニュースが伝えたモスクワ市内の病院の外来で患者もマスクをつけていなかった。マスクをつけるのはよほど悪い病気にかかっている人か、顔を隠したい人だけという常識は健在のようだ。
ではなぜマスクが品薄になるのか。知人の男性は「もともと在庫が少ない。子供のために買う人が増えると店からなくなる」と話していた。 (常盤伸)