【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. 韓国
  5. ソウル 旧正月休み 台無しに

ソウル 旧正月休み 台無しに

2016年04月04日

 北朝鮮が「人工衛星」と主張する事実上の長距離弾道ミサイルを発射したのは、「ソルラル」と呼ばれる旧正月(今年は2月8日)の前日だった。韓国政府や軍の関係者に電話取材した際には、「北朝鮮の嫌がらせだ」と恨み節がこぼれた。

 北朝鮮の暦ではソルラル当日だけが祝日だが、韓国では前後を含めた4日間が連休だった。1月1日よりも旧正月を重んじる韓国では、通常ならほとんどの人が、この時期に帰省や旅行を楽しむ。だが、今年は、北朝鮮のミサイル発射に対応するため、多くの職員が予定をキャンセルして出勤していた。追加挑発への警戒などに追われ発射後も休めなかったようだ。

 連休中は新聞が休刊で、オフィス街ではほとんどの店が休業。支局がある複合ビルも全館式の暖房が切られ、電気ストーブで体を温めながら仕事に追われた。周辺の食堂は営業しておらず、コンビニ店で連日、弁当を買ってきて空腹をしのいだ。

 テレビに映るのは、核やミサイルをもてあそんで周囲を危険に巻き込む、金正恩(キムジョンウン)第1書記のはしゃいだ笑顔。腹立たしさが、一層込み上げた。 (島崎諭生)