2016年04月19日
少し前に、ニューヨーク州の運転免許証を取得した。日本人駐在員の間では、同州の路上での実技試験が「非常に厳しい」と評判だ。知人から「1回は落ちるのが当たり前」と指摘されていたので、1発合格できてホッとした。
その路上試験で、特に注意したのが日米での安全運転に対する認識の違いだ。
日本では、片側1車線の優先道路を走行し、見通しの悪い交差点に差しかかれば、念のため減速していた。試験前の講習で日本人の教官から「同じことを米国の試験でやると、ルールを正確に理解していない、と判断されることもあるので注意を」と指導された。交通の流れを妨げることになるためだという。
この教官は「善かれと思って選択した慎重な判断が、米国では逆に危険な運転とみなされて落ちてしまう日本人が多いんですよね」と交通文化の違いを語った。実際、日本での運転経験が豊富で、技術に自信を持っている人ほど、こんな「わな」に陥りやすいのだとか。
海外では「礼儀正しさ」「つつましさ」が日本人の美徳とされるが、逆に作用することもある1例だろう。 (東條仁史)