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北京 予想外の映画マナー

2016年04月16日

 観賞中も騒々しくて周囲の客などお構いなし、自分さえ楽しめればいい。恐らく中国の映画館はそんな様子だろうと勝手に思い込んでいた。

 しかし、北京の中心部にあるその映画館は違った。チケットを買うと、その場でタッチパネル形式によって好きな座席を選択できる。売店にはポップコーンにミネラルウオーターなど各種飲み物も用意されていた。座席もゆったり座れるソファのような感覚。清掃も行き届いていて、日本の「シネコン」のような心地良さを味わえる。

 驚いたことに、上映前にはマナーを守って観賞するようスクリーンを通じた呼び掛けもあった。「館内でたばこを吸わないように」「前の座席を蹴ってはいけません」「上映中はお静かに」。これらは日本でも繰り返し伝えられる注意と同じだ。

 実際、映画が始まってからも時々ささやくような小声が聞こえる以外、特に不快なことはなし。ストーリーに集中できた半面、静かな館内にどこか違和感と物足りなさが残る。その日に見たのは日本映画。「もっと楽しんで見てくれればいいのに」とは、これも勝手に思う高望みだろうか。 (秦淳哉)