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台北 花の名前に期待して

2016年04月22日

 台北で毎週末、高架道路下の駐車場の車を追い出して花市が開かれている。市内の100を超える花屋さんが出店し、夫婦とおぼしきカップルや家族連れが鉢植えの花を探している。マンションの窓に飾るのだろう。

 春節(旧正月)前、家の中に少しは彩りがほしいと花市に足を運んだ。さすが南国、色とりどりの花が咲いている。清楚(せいそ)な白い夜来香(イエライシャン)もあったが、ほとんどは名前も知らない見たこともない花だ。長寿草、金銭樹、銅銭草、招財樹、黄金葛…。おめでたい名前、とくにお金に関係する名前が多い。「揺銭樹」というものもあった。揺すると銭が落ちる-つまり金のなる木だ。

 小さなワインレッドの花の富貴花を買った。一鉢100元(約350円)だったが「少しでも富に恵まれますように」と二鉢。家に戻って花を数えたら一鉢に30以上も。「きっと今年は…」と期待が湧いた。

 一時帰国で8日間、家を空けた。帰ったら、花はしぼみ、ほとんど枯れていた。鉢にいっぱい水を与えておいたのに。欲張ったのがいけなかったのか。「しょせん、お金には縁がないんだな」と、ちょっと残念な気分になった。 (迫田勝敏)