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米ヒューストン 嫌いでも気になる人

2016年05月06日

 米大統領選の民主、共和両党の指名候補選びで、序盤戦のヤマ場となった「スーパーチューズデー」(3月1日)。大票田・テキサス州の最大都市ヒューストンで行われた両党の予備選投票所で、共和党候補選びでリードする不動産王ドナルド・トランプ氏(69)に対する評価を聞いて回った。

 面白いことに気付いた。トランプ氏以外に票を入れた人のほとんどすべてが、支持候補を評価する理由より「トランプ氏批判」を雄弁に語るのだ。

 民主党投票所でヒラリー・クリントン前国務長官(68)に入れた70代の女性。理由は「女性大統領が誕生してほしいから」とひと言だが、トランプ氏については「主張がひどい」「顔が好きになれない」などとまくしたてた。新聞などでトランプ氏の発言や動向はしっかりとフォローしているようだった。

 要するに、トランプ氏は「気になる人」なのだろう。だから嫌いな人でも、発言に耳を傾ける。自分の考えを世に問う「情報発信力」は政治家の生命線。トランプ氏は奔放な発言で「政治家らしくなさ」を売りにしているが、この点では極めて能力が高い。  (東條仁史)