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パリ 福島を忘れられない

2016年03月23日

 東日本大震災から5年となる3月11日の夕、犠牲者を追悼し、反原発を訴えようと日本人やフランス人がパリの共和国広場に集った。その中に当時、福島県三春町にフランス人の夫、長女と住んでいたボアグリオ治子さん(48)がいた。

 地震の翌日、福島第一原発の建屋で水素爆発が起きた。三春は原発から45キロ。「幼いわが子を守らなくては」と、治子さんらはその夜、両親が住む千葉県に避難した。

 夫はすぐ三春に帰るつもりでいたが、仏大使館から「西に逃げて」とのメールが届いた。知人を頼り、奈良や兵庫を転々とし、間もなく仏政府が手配した無料の帰国便で日本を後に。

 あれから5年。フランスで暮らすが、三春の優しかった人々や美しい自然が忘れられない。「大好きだった生活から突然、切り離された…」。心の傷は癒えていない。さらに今も住み続け、放射能に向き合う友人や住民らを思うと胸が詰まる。

 この日、治子さんはマイクを握り、自分の体験を語った。「原発との戦いは長く厳しい。でも決してあきらめてはいけない」。「第二の故郷」を思う決意にも聞こえた。 (渡辺泰之)

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