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ドイツ・ケルン 変えてはならぬ日常

2016年05月16日

 ドイツ西部のケルンの中央駅で、談笑する高校生の男女6人組に声をかけた。昨年の大みそか、街の中心部で大勢の男たちが通行人の女性を次々に取り囲み、窃盗や痴漢をした事件について意見を聞くためだ。

 事件後、ドイツではさまざまな議論が起こった。中東からの難民申請者が逮捕者の中に含まれたため、アラブ人やイスラム教徒が「女性を軽視している」とやり玉に挙がったほか、夜に外を出歩く女性の側にも落ち度があるとの論調もあった。

 高校生グループの一人アニータ・バルさん(17)は言いたいことがあるという。

 「肌を露出して外を歩いているから襲撃されるんだと批判する人もいる。でも、それを怖がって肌を隠すという方向へ行くのは間違いだと思う。今のままを続けなきゃいけない」

 ドイツでは戦後、男女の固定的なイメージを見直し、平等の意識が浸透した。女性を格好や態度で判断する考え方は、その対極にある。17歳の女性のひと言は、大量の難民流入や事件を機に、女性の自由や平等といった価値観が揺さぶられるのでは-という女性たちの危機感を表している。 (垣見洋樹)

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