2016年05月14日
ランニングやトレーニングにいそしむ市民で終日にぎわうバンコクのルンピニ公園は、時間によって自転車で走ることができ、記者もよく利用していた。
1カ所、左の急カーブの“難所”があり、2カ月前、外国人女性がカーブを曲がり損ねて倒れていた。大勢の職員が体を起こそうとしているが、動きは緩慢だ。女性は呼吸が乱れて苦しそうだ。
思わず駆け寄って「救急車を早く呼んで」と叫んだ。救急車の到着は30分後。「毎日、公園を管理しているはずなのに」と職員に憤った。
そして、1カ月半後。スピードを上げて走っていたら、女性が転んだのと同じ場所で転倒。唇とあご、左膝から出血した。
すると、今度は4人が素早く駆け寄り、記者を抱えてベンチに座らせる。すぐ水とぬれタオルを持ってきて「これで血を拭いて。救急車は必要か?」。
訓練でもしたかのような素早い対応に、私が驚いた顔をすると、相手は得意げにニヤリ。
「やれば、ちゃんとできるんだよ」と言いたげだ。ばつが悪くて、その後、けがは治ったものの、公園を再び自転車で走る勇気はない。(伊東誠)