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韓国・浦項 厚遇すぎる訓練公開

2016年05月15日

 「ドーン」という大音響とともに、海岸の浅瀬に水柱が立ち上る。沖合から水陸両用装甲車が、8台ずつ横一列で波のように近づき、茶色い煙をまき散らしながら上陸。車両後部から飛び出した兵士たちが海岸の段差に身を隠すと、一斉に銃を構えた。

 上空には新型輸送機オスプレイが飛び、航空機からは落下傘部隊が次々と降下した。

 韓国南東部の浦項(ポハン)の海岸で先日、メディアに公開された米韓両軍の合同上陸訓練は、迫力があった。北朝鮮による核実験と事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受け、過去最大規模で実施。内陸部まで進撃する訓練を拡充させたといい、現場は緊張感に包まれた。

 印象的だったのは、メディアへの厚遇だ。水陸両用装甲車の後部から兵士たちが飛び出す訓練は、メディアが撮影しやすいように繰り返し実施。報道を通して北朝鮮に圧力をかけたい米韓側の思惑を感じた。

 約1週間後には、北朝鮮も韓国侵攻を想定した上陸訓練を国営メディアで大々的に公開。情報戦の火花が散る朝鮮半島の真っただ中にいる現実を、日々実感している。(島崎諭生)