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ワシントン 反核の願い命の限り

2016年06月03日

 ホワイトハウスにほど近い教会横の建物が、民間非営利団体が運営するホームレスの宿泊施設だと知ったのは、最近のことだ。施設には180人近い個人と53家族が暮らす。個室があてがわれるほか、居間や台所、風呂、トイレは4~5人ずつが共用する。医師も常駐し、サービスは充実している。

 ホワイトハウス前で35年にわたり、反核を訴え続けた活動家のコニーさんも、最後の数カ月をここで暮らした。

 施設の職員によると、居場所や職をなくした体験を持つ入居者は、いやなことはいやだと自己主張をすることは少ないという。だが、身長150センチ足らずの小柄な女性のコニーさんは、自分の意見をはっきり口にしたので、施設では異色の存在だった。一方で、コニーさんは同居の人々に卵焼きやトーストの朝食をよく作ってあげた。

 コニーさんが亡くなった1月末、ワシントンは大雪に見舞われた。健康が優れなかったコニーさんを気遣い、施設職員が外出しないよう忠告した。コニーさんは言いつけを守ったが、「反核活動へ出掛けたい」と言い続けた。これが、いまわの際の言葉になった。 (青木睦)

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