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中国・延吉 韓流に押される日本

2016年06月17日

 中国東北部・吉林省朝鮮族自治州の州都・延吉は韓国で長年暮らした記者にとって、北京よりも快適な空間だ。市民約60万人の6割近くが朝鮮族で韓国語(当地では延辺語と呼ぶ)を日常語として使い、市内各地に中国語とハングルが併記されているためだ。

 州政府の知人によると、地元に大型産業がないため、25万~30万人の朝鮮族が韓国に出稼ぎに出ている。延吉とソウルを結ぶ航空便は1日3往復する。「延辺の経済を支えているのは、韓国からの仕送り」と知人は説明した。若い人の留学先も韓国が圧倒的に多い。

 韓国文化の影響力は絶大。延吉市内には韓国から進出したコーヒーショップが散在。韓国製の化粧品や洋服が若い女性に好まれ、韓国ドラマがお茶の間で人気を博している。

 韓国語は日本語と文法が似ているため、以前は日本語を学ぶ朝鮮族が多かった。しかし、20年ほど前から英語教育を重視する傾向が強まり、日本語学習者は減っているという。「韓国の勢いに押され、知日派が少なくなりつつあるのは残念」と日本に留学経験がある朝鮮族の女性。同感だ。 (城内康伸)