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上海 「新二等公民」の嘆き

2016年07月01日

 上海市中心部の高速道路で最近、市内に登録のない「外地ナンバー」の車の乗り入れ規制がさらに強化された。

 朝夕のラッシュ時に外地ナンバーの車を締め出し渋滞緩和を図る狙いがあるが、外地ナンバーの車に乗る友人は「戸籍制度による農民差別に次ぐ新たな二等公民づくりだ」と憤る。

 もっとも上海っ子は「上海ナンバー優先は当然」と反論する。上海ではオークションでのナンバープレート取得費はうなぎ上り。4月の平均は約8万5000元(約140万円)にも達したが、外地ナンバーならその100分の1で済むケースもある。

 住宅政策に目を向ければ、中国は「城鎮化」という都市化政策を進めている。格差にあえぐ農村を救うため、農民を中小都市に移住させるのが柱だ。

 だが、都市機能が飽和状態の上海や北京など超大都市への移住は厳しく制限している。一方住宅バブル崩壊の兆しが見られる地方都市と裏腹に、上海や北京の住宅価格は上昇の一途。

 目をこらせば、都市と農村の二元構造が、超大都市とその他-に変わりつつある。「新二等公民」と嘆く友人の懸念にも一理ありそうだ。 (加藤直人)