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ネパール・ティウラコット 最貧の村は人間優先

2016年07月06日

 ブッダが29歳まで住んだネパール最南のティウラコットを訪れた。田畑に囲まれた一本道にはおんぼろ自転車しか走っておらず、車はほとんどない。最貧国ネパールでもかなり貧しい地域だ。

 ブッダが昔住んでいた住居跡を見学した。しかし、より強い印象を受けたのは、遺跡の入り口にある集落だ。

 土で造った粗末な家ばかり。朝、女性たちは牛のフンと土を手でこね、畑へまく。話を聞いた農家にチョコレートを差し入れようとした瞬間、ぼろぼろの服を着た子どもが10人以上集まってきた。

 収拾がつかず、近くの店で10人分の菓子を買い、外へ出ると30人以上に増えていた。

 中年女性が手を伸ばし、5人分の菓子をひったくった瞬間、痩せた犬が物欲しげに女性にすり寄ってくると、その女性は犬の腹を蹴ったのだ。

 すぐ女性は周りの子どもにお菓子を配った。犬も何事もなかったように立ち上がり、女性からおこぼれをもらっていた。犬を蹴る蛮行にショックを受けたが、人間優先の掟(おきて)は極貧の村では致し方ないのか。複雑な気持ちになった。 (伊東誠)

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