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ハノイ 地味な博物館の役割

2016年07月14日

 ベトナムの首都ハノイには独立闘争やベトナム戦争をテーマにした博物館がいくつもある。このうち爆弾の専門施設というサッパー博物館を訪ねた。

 公民館を少し大きくしたような目立たない建物で、開館中のはずなのに入り口は施錠されたまま。裏に回ってノックしたらTシャツに短パン姿の青年が出てきて、扉を開けた。陸軍から派遣されて調査・研究を担当する軍人スタッフだという。

 展示室にはベトナム戦争で米軍が使った大小の爆弾類が数百個。折れ曲がった破片や鈍く光る砲弾は、不気味な存在感を放っている。「ベトナムは新型爆弾の効果を試す場所にされました」と青年が解説した。人的被害を拡大させたクラスター爆弾は何種類も置いてあった。

 しばらく見学している間、他に来館者はなかった。ベトナム戦争の記憶は終結から40年を経て風化しているのだろうか。青年は首を振った。「最近もハノイの街で不発弾が爆発し、4人が死にました」

 伝わってきたのは戦争の怖さと、被害が今も続く現実。地味でルーズな博物館だが、きちんと役割を果たしているのだと感心した。 (大橋洋一郎)

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