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カイロ 紙幣増刷 真の理由は

2016年08月15日

 ここのところ、カイロで1エジプトポンド(12円)の札を手にすることがずいぶん多くなった。1ポンド札はかつて大量に使われていたのだが、ここ数年は発行されていなかった。そのため、今では1ポンドはコインが主流となっている。

 しかし、当地のメディアによると、エジプト中央銀行は最近1ポンド札の発行を再開した。何でも「デザインが世界で最も美しいといわれている1ポンド札の流通量を増やす」のが、その理由なのだそうだ。

 小銭の1ポンドは使用頻度が高く耐久性が必要。コインでなく札を増やすのは不合理な感じがする。外貨収入が減り、エジプトの財政が厳しさを増す中、とりあえずの製造コストを削減する狙いはありそうだ。

 加えて、カイロでまことしやかに流れているのが、土産物業者や金属加工業者らが材料に使うために一ポンドコインを集め、流通量の不足を招いているとのうわさだ。

 ある金属加工業者にこのうわさについて電話で尋ねてみた。「それは、うちじゃなくて、よその業者の話さ。うちはやってない」。うわさを全くのでたらめと言い切るのは、難しいようだ。 (中村禎一郎)