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英ダービー 冷たい「彼女」に別れ

2016年08月24日

 代名詞の「she」や「her」が何を指しているのか、最初分からなかった。

 英国が欧州連合(EU)離脱を決めた6月の国民投票の翌々日、英中部ダービーにあるトヨタの工場で、従業員の男性(64)に話を聞いたときのことだ。

 「彼女は債務危機に陥ったギリシャを救った。しかし、2008年、リーマン・ショックで苦しむ英国は見捨てられた。彼女がしたことを私は忘れない」

 冒頭から「彼女」が登場。彼女が英国に優しくないから「離脱」に投票したという。話が進むと、彼女がドイツのメルケル首相を指すと分かってきた。EU=メルケル氏というこの男性の認識が新鮮だった。

 帰路、駅には審判員のメルケル氏を中心に、右手に離脱派のジョンソン前ロンドン市長ら、左手に残留派のキャメロン英首相らがサッカーのユニホームを着て並んでいる広告が大々的に掲げられていた。

 英国の人々の目に、今のEUはドイツ的な組織として映っている。英国民はそのEUからの離脱を選んだ。ドイツが、彼女が、その事実にどう応じていくかに、EUの再建が懸かっていると感じた。 (垣見洋樹)

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