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ダッカ テロの影響で失業も

2016年09月07日

 バングラデシュで日本人7人が犠牲になったテロの取材中、首都ダッカの旅行会社に勤める男性ショブージさん(44)に出会った。「私たちは日本が好きです。バングラデシュ人はみんな悪人だと思わないでほしい」。流ちょうな日本語で真剣に話しかけてきた。

 ショブージさんは日本で9年働き、10年前に帰国した。飲食店経営をへて、通訳兼ガイドとして今の会社に入った。最近は観光やビジネスでバングラデシュに滞在する日本人が増え、仕事の依頼は伸びていた。

 ところが、北西部の街で昨年10月、日本人男性が銃撃されて殺害される事件が起きると、日本人の渡航や滞在が激減した。ショブージさんたちの出番も少なくなり、会社に15人いた日本語の通訳兼ガイドは半分以下に減ったという。

 今回のテロはさらに衝撃が大きく、不安を増幅させている。日本人駐在員や家族の帰国が増えても、やむを得ないだろう。「日本とバングラデシュはいい関係だったので残念。私たちも本当に困っています」とショブージさん。テロのせいでまじめに働く市民が苦しむのは、やりきれない。 (大橋洋一郎)