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ニューヨーク 帰りの一杯電車満杯

2016年09月09日

 ニューヨーク・マンハッタン中心部、グランドセントラル駅発着の電車で通勤している。帰宅の時間が遅くなると米国人の乗客は減り、日本人駐在員の数が増えるのが特徴だ。日本語で語り合う赤ら顔の酔客も散見される。しかし、夏を迎え、深夜でも乗客は減らず、席を探すのに苦労するようになった。

 同じ電車で通勤経験があり、長く米国に住む日本人男性は「以前は、帰宅ラッシュを過ぎると日本人駐在員ばかりだった。近年は季節を問わず、帰宅が遅い米国人が増えた。仕事後、仲間とお酒を楽しんで帰宅しているようだ」と解説してくれた。「ニューヨークは金融機関に勤める人が多く、リーマン・ショックで職場環境も変わった。ストレスもたまるのでしょうね」と、この男性。

 2001年の米中枢同時テロの直後、ニューヨークに出張した際、米紙ニューヨーク・タイムズが「不安を和らげるため、ニューヨーカーの飲酒量が増えた」という記事を掲載したのを思い出した。適度のアルコールは、心と体をリラックスさせるための妙薬だ。大きな社会の変化や事件は、通勤電車内の風景さえ変える。  (東條仁史)