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チュニス テロが残した悪循環

2016年10月28日

 昨年3月の出来事が記憶に残る人は少なくないと思う。チュニジアの首都チュニスで発生した国立バルドー博物館の襲撃テロのことだ。テロでは、日本人3人も犠牲となっている。

 身体チェックを受けて博物館に入ると、テロの犠牲者の名前が記された追悼碑が左手にあった。日本人の名を目にすると、遠い異国の地で命を失うことになった無念を想像せざるを得なかった。

 チュニジアは多くのアラブ諸国と異なり、タクシーや飲食店でぼったくられる心配はほとんどない。イスラム教の国だが、世俗的な雰囲気が漂っており、多くの日本人にとって比較的過ごしやすい場所のはずだ。

 一方、チュニジアではバルドー博物館以外でもテロが相次ぎ、観光業が低迷。観光の不振は失業率の上昇につながり、社会の不安定化を招いている。

 話を聞いたチュニジアの政府関係者は、国内の治安対策が進んでいることを強調した。テロへの恐怖が悪循環を招くこと自体は、もちろん理解できる。追悼碑の前で、彼が「日本人に観光に来てほしい」とも話していたことを思い出した。 (中村禎一郎)

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