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ウラジオストク あと2泊の買い物難

2016年11月04日

 モスクワから空路8時間半。長旅の疲れをシャワーで洗い流したところで気が付いた。着替えのパンツを入れ忘れていた。

 9月初旬、極東ウラジオストクで日ロ首脳会談を取材した。舞台となったのは、ロシア政府主催の経済フォーラムが開かれた大学のキャンパスだった。

 2012年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の会場として整備。他国を圧倒しようと思ってか、ナゴヤドーム29個分の敷地140ヘクタールにビル、1万人収容の宿泊棟が立ち並ぶ。

 難があるのは、ほかに何もない島に立地しているということだ。1泊は冷え込み対策のタイツで代用したが、あと2泊。翌日、ヘルプデスクで「近くに下着を売っている店はないか」と聞いてみた。スタッフ4人で協議した結果は「タクシーで30分のところにショッピングモールがある」。現場を長時間離れるわけにもいかず、断念した。

 島はかつて軍事拠点だった。以前、冬季五輪が開かれたソチを訪れたときも思ったが、ロシアの大ハコモノ行政には、生活者の視点が著しく欠けている。もっともらしく批判してみたとて、結局は準備が雑だった自分の責任なのだが。 (栗田晃)