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北京 新入生へ「軍隊式訓練」

2016年11月28日

 北京郊外の大学で取材を終えて帰ろうとした時のこと。キャンパス内の光景に一瞬、縮み上がった。迷彩服を着た集団が隊列を組んで行進している。それも数百人単位だ。

 「人民解放軍だろうか」。キャンパス外に出るには迷彩服集団のすぐ横を通るしかない。トラブルに巻き込まれるとやっかいだな。想像が頭の中で渦巻いたが、意を決して集団の脇をすり抜けて外に出た。

 知り合いの中国人から「それは新入生の訓練だ」との説明を聞いて、また驚いた。大学の入学時期は毎年9月で、新入生は2週間から1カ月にわたる訓練を受けるという。

 中国の大学生はキャンパス内の寮で集団生活が基本。規律ある日常に訓練は欠かせないのだろう。調べてみると、大学の訓練では、布団を畳んだり部屋の片付け、革命歌の合唱は序の口で、腕立て伏せ、うさぎ跳び、腹ばい状態の前進などのメニューが並ぶ。実弾の射撃訓練を取り入れる大学もある。

 「きつかった。もう二度とやりたくない」。軍隊式訓練には違和感を覚えるが、大学生によるネット上のこんな書き込みを見て、ちょっと安心した。 (秦淳哉)