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米ベリア 支持しているけど・・・

2016年12月13日

 米中西部オハイオ州にある人口4000人ちょっとの田舎町ベリア。大統領選取材で訪れ、寂れて人通りが少ない中心部で、出会った住民に誰を支持するか聞いてみたら、一様に共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)という回答が返ってきた。

 町で見かけるのは白人ばかりで、ほとんどの住宅の庭にはトランプ氏の看板が並ぶ。理髪店では、高齢の男性店主が「昔は鉄鋼業や炭鉱業で栄えたが、今はひどい状況だ。成功したビジネスマンなら何とかしてくれるさ」と強調。男性客も「首都ワシントンの政治家はもう信用できないな」と口をそろえる。

 2人は長年の民主党支持者。「チェンジ」を訴えるオバマ米大統領に期待してきたが、町の衰退は止まらず、人口は25年で3分の2に減少。既成政治家への不信は募る一方で、今回は共和党のトランプ氏の「チェンジ」に望みをつなぐ。

 話の最後に氏名や年齢を聞くと、他の人たちも含めて「言いたくない」とかたくなに拒否。差別発言や女性問題が相次いでもトランプ氏を支持しているが、それを新聞で公にするのは恥ずかしいという複雑な心情をのぞかせた。 (後藤孝好)