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仏カレー 難民たちの笑顔は今

2016年12月22日

 ボール遊びに興じる黒人の一団にカメラを向けた。1人の若者が気づき、声を上げた。英仏海峡を望む仏北部のカレー。ロダンの名作「カレーの市民」で有名な街は近年、難民が押し寄せる街として知られるようになった。初秋、海沿いの難民キャンプは1万人に膨らみつつあった。

 声につられ、数人が近寄ってきた。現場では撮影をめぐるいざこざはしばしばだ。身を硬くしたが、どうも様子が違う。「見せてよ」。液晶画面に写った自分らの写真を見て、無邪気に歓声を上げた。「僕にもやらせて」。1人1人シャッターも押させてあげた。あどけなさが残る顔ばかりだった。

 スーダン人たちで危険を冒しても「英国に渡りたい」と口にした。家族を残して故郷を後にしたという者もいたが、不思議と悲愴(ひそう)感はなかった。その支えは、同胞と出会えた一時の平穏と「夢の国」へのかすかな希望があるからなのか。

 10月下旬、仏政府はトラブルを避けるため飽和状態になったキャンプ撤去に着手。難民は各地の施設に送られていった。彼らは今も笑って希望を抱き続けているだろうか。 (渡辺泰之)

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