2016年12月19日
ロシア極東のハバロフスクを初めて訪れた。人口60万人の街は、せわしないモスクワに比べ、落ち着いた雰囲気だ。取材の合間にどこか見て回る観光名所はないか、地元のロシア人に尋ねてみた。すると「橋」「川」と、まるで暗号のような答えが返ってきた。
「橋」とは1998年に完成した全長2.5キロのハバロフスク橋、「川」とはロシアと中国の国境をなすアムール川のことだ。確かに、雄大な川と堅固な橋の組み合わせは実に絶景だ。
どこかで見た風景だなと思っていると、ロシアの最高額紙幣5000ルーブル(約8000円)札に描かれていると知った。新札が登場した2006年、数あるロシアの都市の中で選ばれたとあって地元の人も誇るわけである。
最高額はありがたいが、正直5000ルーブル札にあまりいいイメージを抱いていなかった。ロシアではレジやタクシーでお釣りの用意が少なく、大きなお札はしばしば使い勝手が悪い。
お膝元の市民の声を聞き、今後はお札を手にしたときの気持ちも変わりそうだ。「お釣りがない」と突き返されれば、結局またイライラしてしまいそうだが。 (栗田晃)