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ヤンゴン 初代ハリアー「再会」

2016年12月20日

 取材で訪れたミャンマーの最大都市ヤンゴンで、初恋の相手と再会した気分になった。流れるようなボディー。スポーツタイプ多目的車(SUV)でありながら、高級感も併せ持つ。トヨタ自動車の初代ハリアーだ。

 車内をのぞき込もうとすると、所有者のミャンマー人男性が飛んできた。「十数年前に日本でこの車を運転していた。色もまったく同じだから、昔の恋人かと思って」。そんな言い訳をしたら、男性は笑って、運転席のドアを開けてくれた。

 日本貿易振興機構によると、ミャンマーの自動車市場の9割は日本の中古車で占められる。2011年の民政移管以降、規制が大幅緩和され、個人も中古車を輸入できるようになった。

 人気はトヨタ車だ。マークIIのハンドルを握るミョーウィンさん(28)は「頑丈で、修理も簡単。トヨタは部品が手に入りやすいから」と絶賛する。

 新車に乗ってみたいかと水を向けると「中古で十分。この車の走行距離は16万キロだよ」。需要の拡大を見込み、大手メーカー各社は相次いで新車ルームをオープンしているが、日本製中古車が強敵となるのは間違いない。 (山上隆之)