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韓国・済州島 平和への祈りの陰で

2017年01月05日

 その仏像に心ひかれたのは、単に黄金に輝き、国内最大規模の5メートルの高さを誇るからだけではなかった。分断された民族の切なる願いが込められていたことが分かったからだ。

 「韓国の沖縄」とも呼ばれる済州島。南部にある薬泉寺はいわゆる観光名所ではないが、李氏朝鮮様式で1960年ごろに建築され、高さ30メートル、延べ床面積3000平方メートルは単一寺院としては東洋最大とされる。「穴場的」観光スポットだ。

 安置されている仏像は南北交流があった70年代初めごろ、名産のミカンと引き換えに北朝鮮から運んだ木材でつくられたという。「半島の平和を祈る仏像とされているんです」。ガイドしてくれた宋京林(ソンキョンリム)さんの笑顔に心が洗われる思いがした。

 一方で残念なことも。寺の2階に砂絵のまんだらが置かれていたが、旗が描かれていた部分がぐちゃぐちゃにつぶされていたのだ。職員に聞くと、もともと描かれていたのはチベットの旗。正確には不明だが、中国人客の訪問後にこの状態で見つかったようだ。平和を願う仏像の目の前での「蛮行」に嘆息せざるを得なかった。

 (上野実輝彦)

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