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ロシア・コロリョフ 宇宙ロマン追わせて

2017年01月26日

 ロシア赴任に際し、楽しみにしていたことの1つに宇宙関連の取材がある。先日、その機会がやってきた。国際宇宙ステーション(ISS)に滞在した大西卓哉宇宙飛行士らの帰還を、モスクワ郊外のコロリョフにある管制センターで見守った。

 正面の大画面と、無数の小さなモニターの前で作業する職員たち。映画で見た光景に気持ちが沸き立ったが、着陸の瞬間は案外あっけないもの。職員の歓声やガッツポーズはなく、親族らの関係者席からまばらな拍手が聞こえただけだった。

 何度か取材したことのある記者に聞くと「だいたいこんなもの」という。55年前ガガーリンを人類初めて宇宙に送った国だ。地球との往復も慣れっこなのかもしれない。

 来年秋には金井宣茂さんの初飛行が控え、次は打ち上げを間近で取材してみたくなった。有人宇宙開発は多大な費用に見合う成果が少ないとの批判もあり、ISSが運用を終える2024年以降の展望は各国とも明確ではないという。いわば「ロマン」と「お金」の間にある。

 願わくば、ロマン優先で、と単純に思ってしまうのは、甘すぎるだろうか。 (栗田晃)