2017年02月07日
ソウル中心部の光化門広場の一角には2年前から、黄色いリボンを飾った10張りほどのテントが並んでいる。2014年4月のフェリー「セウォル号」沈没事故の犠牲者遺族らが設け、真相究明に消極的な朴槿恵大統領の退陣を求めてきた。
朴氏の友人による国政介入疑惑では、事故直後7時間の朴氏の不明な行動にも焦点が当たった。朴氏の退陣を求めるデモでは、遺族らが「空白の7時間を解明しろ」と先導。国会で朴氏の弾劾訴追案が可決された際には、傍聴席で涙を流す遺族の姿を韓国メディアが中継した。
「弾劾案可決は当然。うれしさと悲しさが混ざった、複雑な気持ちだ」。当時高2の息子を亡くした張勳(チャンフン)さん(46)は、可決翌日の集会で心境を語った。
個人的には、事故直後に朴氏が対策本部で指揮していても、犠牲者は助けられなかったと思う。事故の直接の責任はフェリー会社にあり、朴氏に負わせるのは筋違いに見える。
ただ、朴氏は遺族との面会を避け続けるなど対応を誤り、やり場のない怒りを一身に買った。「韓国の政治は情で動く」。先輩特派員から聞いてきた言葉が、胸に染みた。 (島崎諭生)