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ロンドン 現代に通じる英国史

2017年02月17日

 ロンドンに着任して最初の日曜日。英国の歴史を学ぼうと、散歩がてらケンジントン宮殿に向かった。ウィリアム王子夫妻が住む宮殿だが、一部公開されている。

 大広間で早口のガイドの横を擦り抜けようとしたとき、聞き覚えのある名前が耳に入った。

 オレンジ公ウィリアム。名誉革命(1688~89年)の立役者として、中学で習った記憶がよみがえる。「彼もここに住んでいたのか」と足を止めた。

 オレンジ公は「太陽王」と呼ばれたフランスの絶対君主、ルイ14世に接近する義理の父を王の座から追い落とす。「英国は、ルイ14世が支配する欧州大陸の支配下に置かれることを恐れたのです」と、ガイドは声を張り上げた。

 何だか欧州連合(EU)離脱と通じるような解説。ガイドは続けた。「そのころ革命にかかわる戦費がかさみ、資金調達のためイングランド銀行が設立されました。現代の中央銀行制度の始まりと言われます」

 中央銀行の起源は、政府の都合で紙幣を刷ることなのか。これ、東洋のどこかの国で聞いたことがある理屈だが。 (阿部伸哉)