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ロシア・ズヴョーズヌイ・ゴロドーク 星の町が結ぶ日米ロ

2017年04月06日

 ロシアのズヴョーズヌイ・ゴロドーク(星の町)を訪れた。モスクワ郊外のれっきとした地名だ。宇宙飛行士の訓練センターがあり、宇宙関連事業の人たちが集まってできた町だ。

 銀行の現金自動預払機(ATM)にまで、人類で初めて宇宙に行ったガガーリンのイラストが描かれている。聞くところによれば、飛行機事故で早世したソ連の英雄の妻は、まだこの町の団地に住んでいるという。

 この日、昨年10月に国際宇宙ステーション(ISS)での任務を終えた大西卓哉さんとロシア、米国の宇宙飛行士3人が、星の町に立つガガーリン像に帰還を報告し、献花した。

 記念式典で米国、日本、ロシアの国歌が順に演奏された。地上では近年、米ロの対立が激しい。こうした友好的な光景は珍しく思え、何だかほっとした。

 ちょうど、トランプ米新大統領の就任式の日と重なった。「分断」や「憎悪」など、先行き不安な言葉が地球上を覆う。

 宇宙飛行士の選考には、集団作業に適した協調性や情緒安定性が問われるという。現在の世界の指導者の中に、その条件をクリアできそうな人がどれだけいるだろうか。 (栗田晃)