2017年04月11日
昼食を取るため、ニューヨーク市郊外にある自宅近くのハンバーガー店に行った。香ばしい肉の味も好きなのだが、もう1つの楽しみは、料理を載せるために使う紙製の敷物だ。米国の歴代大統領が顔写真とともに紹介されている。米国の歴史をなぞるようで、何度見ても飽きない。もちろん、トランプ現大統領も「仲間」に加わった。
女性の店員に「持って帰っていいか」と聞いたところ、笑顔で「もちろん」との答え。ちょっと反応を試そうと、トランプ氏のスペースを指し示したら、突然、顔をそむけられた。そのやりとりを見ていた隣席の女性客が「私ももらったのよ」と話し掛けてきた。しかし、トランプ氏の写真の部分が爪で引っかかれていた。
ニューヨークは民主党支持者が多い地域だ。トランプ氏は共和党だが、こうした態度には党派の違いを超えた憎しみがにじむ。トランプ氏は融和を訴えてはいるが、イスラム圏7カ国からの入国制限には、米国民からも猛反発の声が上がった。分断を深刻にしているような気がしてならない。食事を楽しむ場所でさえ、そんな雰囲気が醸し出されている。 (東條仁史)